保育士の平均年収は396.9万円です。この数字はどこにでも書いてあります。
でも、それを見て「多い」とも「少ない」とも判断できませんでした。比べる相手がいないからです。何と比べれば、この396.9万円が高いのか安いのか分かるのか。
この記事では3つの物差しを置きます。どう計算された数字なのか、近い仕事と比べてどうなのか、手取りにするといくらになるのか。
先に結論を書くと、保育士の年収は介護職員より25万円高く、看護師より111万円低い位置にあります。そして手取りにすると、年収396.9万円は月あたり25万円ほどになります。
保育士の年収396.9万円は、どう計算されていますか?
国の統計に「年収」という項目はありません。あるのは毎月のお給料と、年間の賞与だけです。そこから次のように計算しています。
きまって支給する現金給与額 271,400円 × 12か月 + 年間賞与 712,200円
= 396.9万円
この方法で出しているので、次の点に注意してください。
- 税金や社会保険料を引く前の金額です
-
手取りではありません。実際に口座に入る金額はこれより少なくなります。
- 残業代と手当が入っています
-
きまって支給する現金給与額には、残業代や通勤手当などが含まれます。基本給だけの数字ではありません。
- 賞与は前年の実績です
-
調査の対象は前年1年間に支払われた賞与なので、入職して間もない人は少なくなります。
保育士求人票の年収と、この396万円って比べていいの?



求人票の年収に賞与が含まれているかを確認してください。月給だけを12倍した数字を年収として載せている求人もあります。その場合は比べる土台が違います。
保育士の年収を、近い仕事と比べると?
同じ統計で、他の職種も同じ方法で計算できます。並べたのがこの表です。
| 職種 | 推定年収 | 毎月のお給料 | 年間賞与 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 看護師 | 508.2万円 | 352,100円 | 856,500円 | 41.9歳 |
| 理学療法士・作業療法士など | 432.5万円 | 300,900円 | 714,400円 | 35.6歳 |
| ケアマネージャー | 421.6万円 | 297,100円 | 651,000円 | 52.3歳 |
| 幼稚園教諭・保育教諭 | 407.6万円 | 272,300円 | 808,000円 | 38.3歳 |
| 准看護師 | 407.1万円 | 286,800円 | 629,500円 | 51.2歳 |
| 歯科衛生士 | 404.3万円 | 296,200円 | 488,800円 | 37.8歳 |
| 保育士 | 396.9万円 | 271,400円 | 712,200円 | 38.0歳 |
| 栄養士 | 390.2万円 | 268,100円 | 684,500円 | 38.3歳 |
| 介護職員 | 371.4万円 | 263,600円 | 550,600円 | 44.4歳 |
| 販売店員 | 361.0万円 | 267,000円 | 405,600円 | 41.9歳 |
| 調理従事者 | 358.9万円 | 272,500円 | 319,200円 | 44.2歳 |
保育士は、この並びのちょうど真ん中あたりにいます。介護職員より25.5万円高く、販売店員より35.9万円高い。一方で看護師とは111.3万円の差があります。



幼稚園の先生とは10万円しか違わないんだ



毎月のお給料はほとんど同じです。271,400円と272,300円で、差は900円しかありません。



じゃあ年収の10.7万円の差は?



賞与です。幼稚園教諭は808,000円、保育士は712,200円で、年間で95,800円違います。月給ではなく賞与で差がついています。
この表で目立つのは、賞与の差が年収を決めているという点です。調理従事者は毎月のお給料が保育士より1,100円高いのに、年収では38万円低くなっています。賞与が319,200円しかないためです。
月給だけを他の求人と比べても、年収の順位は入れ替わります。賞与が何か月分出ているかを必ず確認してください。
保育士の年収は、手取りにするといくらですか?
年収396.9万円から引かれるものを並べます。
- 健康保険料と厚生年金保険料 ── 合わせて給与のおよそ15%
- 雇用保険料 ── 給与のおよそ0.6%
- 所得税と住民税 ── 扶養している家族の数で変わります
これらを引くと、手取りは年収の8割前後になります。396.9万円なら、おおよそ310万円から320万円です。
月あたりにすると25万円から26万円ですが、賞与が別に入るので毎月の口座残高はこれより少なくなります。毎月のお給料271,400円の手取りは、21万円から22万円くらいが目安です。



手取り21万か…。ひとり暮らしだと結構きついな



そこで効いてくるのが住居の補助です。借り上げ社宅の制度がある園なら、家賃の負担が大きく変わります。ただし期限が決まっていることが多いので、条件の確認が必要です。
ここに書いた手取りは目安です。扶養している家族の数、お住まいの自治体、40歳以上かどうか(介護保険料)で変わります。正確な金額はご自身の給与明細をご確認ください。
保育士の年収を上げる方法は、大きく3つです
統計から読み取れる範囲で、年収が変わる要因は3つに絞られます。
処遇改善等加算の対象になると、おおむね3年以上で月5,000円、おおむね7年以上で1人4万円を上限に配分されます。どちらも研修の修了が条件です。月4万円なら年間で48万円になるので、ここが一番大きい。ただし令和7年度の一本化で、いくら配るかは園の判断に変わりました。
他職種との比較で見たとおり、年収の差は賞与で決まります。月給が同じでも、賞与が2か月分と4か月分では年収が50万円以上変わります。
都道府県によって年収は143.2万円変わります。ただし引っ越しを伴うので、実際に選べる人は限られます。
正直に書くと、3つ目はほとんどの人にとって選択肢になりません。家族も住まいも仕事も、給料のためだけに動かせるものではないからです。
現実的なのは1つ目と2つ目です。とくに2つ目は、いまの園にいながら求人票を見比べるだけで判断できます。
保育士の年収についてよくある質問
- 保育士の年収は他の職種と比べて低いですか?
-
近い仕事と比べると真ん中あたりです。介護職員より25.5万円高く、幼稚園教諭より10.7万円低い。看護師とは111.3万円の差があります。全職業の平均と比べれば低い方に入ります。
- 保育士で年収500万円は可能ですか?
-
経験15年以上の保育士の平均は458.3万円なので、そこから役職手当が付けば届く水準です。ただし15年以上まで続けている人は全体の30.6%です。
- 公立の保育士と私立では年収が違いますか?
-
国の統計では公立と私立を分けた保育士の数字は公表されていません。公立は地方公務員の給料表にもとづくため、勤続年数に応じて上がりやすい仕組みになっています。
- 保育士の年収に賞与は含まれていますか?
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この記事の推定年収には含めています。毎月のお給料271,400円を12か月分にして、年間賞与712,200円を足しています。求人票の年収は賞与を含まない場合があるので、比べるときは条件をそろえてください。
- パートの保育士の年収はいくらですか?
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時給1,317円、1日5.5時間、月16日で計算すると、月収は115,896円、年収では139万円ほどになります。賞与が出る園なら、その分が加わります。
まとめ
- 保育士の推定年収396.9万円は、毎月のお給料271,400円×12か月+年間賞与712,200円
- 近い仕事の中では真ん中。介護職員より25.5万円高く、看護師より111.3万円低い
- 幼稚園教諭との差10.7万円は、月給ではなく賞与でついている
- 手取りは年収の8割前後。おおよそ310万円から320万円
- 年収を上げる要因は、役職の条件を満たすこと、賞与が厚い園に移ること、地域を変えること
求人票の年収と比べるときは、賞与が含まれているかを必ず確認してください。そこがそろっていないと、比べても意味がありません。
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出典:「令和5年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)を加工して作成/出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)



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